【復讐】O4-36 罪悪感みたいなのは、これっぽっちもない

会社の先輩にかなりえげつない復讐をした話でよければ。

36です。
身バレするとマズイのでフェイク入ります。


新卒で入社した会社で、配属された部で教育係なる奴から、まあテンプレ新人いじめをされた。
無視・暴言・放置…でも右も左も分からない新人だから、
って、どんどん鬱になっていった。

最終的に追い出されるように他部署に異動になった。
結果、そこでいい同僚や先輩・上司に恵まれて救われたわけだけど。

続き。

それから四年くらいたった。
俺は後輩もできて中堅どころのポジションになり、件のいじめをしていた教育係の先輩（Ａ男とする）も順調に出世していた。
Ａ男はそこそこ仕事はできるし、弁が立って自分をよく見せるのがうまかった。
そういうのも能力のうちなのかもな。


Ａ男の隣のチームで働いてるやつと食堂で顔を合わせることがあったから、たまにＡ男の噂を耳にした。
んだと。
会社にとっては結局、生産性の高い仕事をする社員＝正義だから、新人が辞めても企業劣等生とみなされるだけなんだろう。




そんなある日、営業日報になにげなく目を通してたら、Ａ男の名前を見つけた。
うちの会社は、ペーパーレス化の一環で営業の行動予定とか業務報告とか全部サーバー上に入力するシステムになってる。
ある営業の報告で、
って内容だった。
いわく
ということが、具体的に書いてあった。

と思ったけど、どうせこれももみ消しだろう。
その営業は若手の平社員で、Ａ男のほうが役職は上だからな。
って想像すると、無性に腹が立った。

ふと、悪魔がささやいたんだ。
ってな。
で、プリントアウトして匿名で郵送した。

その結果―――。
早いもので、１０日後くらいにうちの社長から全社員に一斉メールが送られてきた！
取引先が
からというのが理由。
社長は当然激怒で、メールには
とかなり強烈な文章が並んでいて、縮み上がったよ。

当然会社中の話題になってさ。
同じ部署の女性社員がため息まじりで
って言ってて。
―――すまん、俺です。
内心謝るしかなかった。

社長のメールには事件の経緯の説明だけで具体名は書いてなかったし、件の日報は見れないように削除されたんだが、噂というのは恐ろしいもので、人の口から口へあっというまに
と広まっていた。
そうして犯人は、誰にも分からなかった。
俺以外は、誰も。

それから約３ヶ月後の人事異動―――。
今はやつともう一人だけで、ほそぼそと倉庫の片隅で在庫管理をやってるらしい。

後味は、あんまり良くない。
けど、Ａ男への罪悪感みたいなのは、これっぽっちもないんだ。
自分がこれほど人を許せない人間なんだって、知らなかった。

人の怨みだけは買わないように生きようと思う。
俺みたいなやつがいるんだって、自分がいちばんよく知ってるから。