担任は母子家庭だけをやたら贔屓していた。何かあるたびすぐ母子家庭の子の名前を挙げて「アイツはな、母子家庭だけどあんなに頑張っているんだぞ」と説教し出す。

高校時代、クラスの３分の1以上が片親だった。
クラス替えのないコースのため、3年間メンバーと担任は同じ。
正確な人数は覚えていないが30人ほどのクラスで父子家庭の子が1人、両親がいなくて祖母と2人で暮らす子が1人、あとは母子家庭が8～10人くらいいた。

年配の担任自身も母子家庭育ちで、お母さんは18で結婚して21歳で子供を3人抱えて未亡人になったが再婚もせずに働いて兄弟を全員、大学や専門学校まで行かせてくれたらしい。
（亡きお父さんが職人さんだったため、お母さんは舅にその技能を教わって跡を継いだため生活には困らなかったという）

その話は感動的だと思うが担任は母子家庭だけをやたら贔屓していた。
何かあるたびすぐ母子家庭の子の名前を挙げて「○○はな、母子家庭だけどあんなに頑張っているんだぞ。
両親揃って甘ったれてるお前なんかと違ってな」と説教するので嫌だった。
母子家庭の子はそれで調子に乗って上から目線な態度をとる子もいたし、
「母子家庭だからって可哀想でもなんでもないからそんなに特別扱いしないでほしい」と困惑している子も少なくなかった。
母子家庭の子だけに旅行や帰省のおみやげを配る（しかもそこそこ値段するやつ）、
母子家庭の子とそうではない家庭の子がトラブルを起こすと母子家庭の子を無条件に味方するという分かりやすい贔屓もしていた。

担任は両親そろった子だけでなく、父子家庭や祖母と暮らす子にも嫌味ばかり言っていた。

父子家庭の子はシ別ではなく離婚らしいんだが「お母さんがお前やお前の妹の親権とれないってことはお母さんの有責だろ。
何したの？育児放棄？デーブイ（DV）？」
「父子家庭だと苦労がないから良いな」
「父子家庭ってことは母子家庭と違ってお父さんの収入がいっぱいあって生活には困らないだろ。
母子家庭の子を見習え、あいつらはな…」と言っていた。

そしておばあさんと暮らしてる子はどういう事情があるのか、お母さんが存命なのか分からないが、お父さんはどこかにいるらしく（単身赴任とかではなく昔から完全な別居）その子に対して
「お前はお父さんが生きているから甘えている」
「子育てのベテランに育てられて甘えている」
「おばあちゃんだったら年金もあるし若い頃からお金を溜め込んでいるだろうし裕福な暮らしをしているだろう」と言っていた。

私の友人は在学中にお父さんが急逝して母子家庭になったのだが、今まで両親揃って甘えているとか言われていたのに、母子家庭になったその日からあたりまえのことを大げさに褒められるようになって気持ち悪いと言っていた。