【…】今でも命日が近づくと思い出す、切ない復讐の話でした。

俺は高校時代に秋田犬を飼っていた。
名前はヤタロウといった。
少々ヤンチャでよく吠えるがその分人懐っこくて、夜寝る時なんかは家にいるとたまに俺の布団に潜りこもうとするかわいいヤツだった。

ヤタロウの方も犬嫌いな人間がわかる様で、噛むか噛まないかギリギリのところまでリードを伸ばしキャンキャン吠えさせると、相手によっては怯えたりワザと気にしてないように強がったり大の男が本気でビビって悲鳴を上げたり、といった反応が面白くてやっていた。

そんなある日の事。
夜散歩していた時、仕事帰りの大人しそうなサラリーマンが通りかかった。
俺が連れている犬を見て一瞬だがキョドったのを俺とヤタロウは見逃さなかった。
少しリードを緩めてヤタロウをサラリーマンの方にけしかけた。
ヤタロウは犬嫌いな人間が嫌いなので当然吠えまくる。
ただでさえビビりかけていたサラリーマンは
と悲鳴を上げてビビリまくっていた。

そこで俺が「すみませ～ん、ウチの犬が…」と半笑いで謝って終わる話、だったのだが、
短い悲鳴を上げて吹き飛ばされ、そのままピクピクと痙攣するヤタロウ。
サラリーマンを思わず全力で蹴り飛ばした後、すぐさま俺はヤタロウにかけよって抱きかかえた。
痙攣しながらひゅーひゅーと苦しそうに息と血を吐くヤタロウは明らかに尋常じゃない様子だった。

すぐさま家に戻って家族と一緒に病院に向かった。
その時俺の頭にはサラリーマンの事がすっかり頭から飛んでいた…。

ヤタロウは結局助からなかった。
サラリーマンが蹴りあげた時に折れた肋骨が内蔵に突き刺さり、病院に担ぎ込んだ時は既に手遅れだった様だ。
ヤタロウを荼毘に付し、ひとしきり涙にくれた後…俺は猛烈な怒りにかられた。
確かに先にイタズラをしたのは俺だ、しかしその代償が可愛いヤタロウ…。
俺の相棒の死とはいくらなんでもあんまりだと強く思った。

それから何日かヤタロウが亡くなった現場を陰から見張り、ヤタロウを殺したサラリーマンを探した。
サラリーマンはすぐに見つかり俺は後をつけて家まで突き止めた。
すぐに警察に通報しようと思ったが、親父に止められた。
と涙目の親父に諭された。
一旦そこで留まった俺だが、やはりどうしても許せなかった。
心無い謝罪と、ヤタロウの墓の前で土下座をさせるだけでは俺の怒りとヤタロウの無念は収まらないだろう。

そこで俺は、当時暴走族の複ヘッドをやっていた幼馴染のＡに相談した。
するとＡは言った
と。
俺はすぐにＡに情報を伝えた…。

それから後の事は、俺も詳しくは知らない。
ただＡからは後で
と教えられた。
当時はまだ銀行振り込みではなく、給料手渡しも多かったご時世。
そんな時に、普段でもバットで相手を殴ってからカツアゲするＡとその仲間達が犯人のサラリーマンに対して穏便なケジメをつけさせる筈が無かった。

もうじきヤタロウの命日だ。
あれから俺も大人になり、当時の俺と同じぐらいの子供もいる歳になった。
子供も俺に似たのか犬好きで、ヤタロウと同じ秋田犬を飼っている。
名前は俺が決めさせてもらった、ヤタロウから名前を取ってコタロウ。
安直な名前だが俺達家族と、そして恐らくコタロウ自身も気に入っている。

今でもヤタロウの命日が近づくと思い出す、切ない復讐の話でした。

>>242
ヤタロウを死なせたのはそのサラリーマンじゃなくてお前だ

ヤタロウはお前を恨んでいるだろう、そんなくだらないいたずらをしなければ俺は死なずにすんだのに、お前のせいで俺は死んだんだ、ってな

大丈夫だよ。
>>242は遺体がバケツで回収されるような死に方するから

>>242
お前の肋骨が折れてﾀﾋにますように

>>242
さっさとシネ糞虫

夏休みは検定多いな