【拡声】「いつもお世話になります！」

就職したばかりの時。
メールがまだ普及していなかったので、朝９時の始業とともに取引先からじゃんじゃん電話がかかってきた。
私は新人なので、
という上司の指導で、鳴った電話はワンコールが終わる前に飛びついていた。
ほとんど、というか１件だけを除いて、私が
と出れば、
という当たり前のやり取りだった。




だが、１件というか１人だけ、
「はい？」
という、会社員とは思えない失礼な言い方をする取引先（声からして中年のおっさん）がいた。
この取引先の、弊社の担当者は決まっていたので、最初からその人を指名すればいいものを電話をかけてくるたびにこれをやる。

何度かこの電話を受けた後、いい加減ムカついたので、
相手が
と始めた途端に、

学生時代は合唱団だったからね、私の大声がアナログ電話の向こうでバリバリ割れるのがわかった。
相手はギクッとした様子で
相手は
と急に勢いがなくなった。
私は送話口をわざと手でふさがないで
ってやってやった。

次の電話から、この取引先も普通に
と言うようになった。
ということを学んだ。

というか、女の大声くらいでビビるなよおっさん。